昔話 玖
山口修源先生の武士道修行について、一言で表現すれば、「凄い」がぴったりとくるのです。
なぜそんなに凄いのかと言いますと、それは実践そのものだからです。
流す、受ける。ぶつかるときには全力でガツンとくる。
倒され、関節が本来曲がらない方向に力が加わる瞬間は、思わず声が出るほどの痛みを伴います。
また、相手も同じ。あっという間に息が上がり、自分自身の限界を思い知らされます。
過去の私は、そんな厳しい修行から逃げ出すことを選んでいたかもしれません。
そして、その逃げたことを後悔し、他人から「逃げている」と指摘されると、身を縮めてしまうことでしょう。
しかし、本当の問題はそこではなく、自己を律することができなかったことにあったと今になって思います。
自己を否定しながらも自我が肥大化していく。これこそが、我が青春時代の矛盾した様相でした。
だからこそ、その頃に山口修源先生の武士道修行に出逢い、自分自身と向き合うことができていたら、
無為に時間を過ごすことなく短期間で矯正できたはずです。
なぜなら、その修行は「ありのまま」を受け入れるものだからです。
それこそが武士道修行の明快さであり、その素晴らしさなのです。